2020年08月10日
Category:社長日誌

商品と販売のこと@

 今日は生産者、加工者すなわち「作り手」として、我が子のように愛着のある品物がお客さんに届くまでにどのような事情があるのかを書いています。そして導き出した仮説とは。(所要:約3分)
 



作り手の独白。

 マルコウは「美味しい魚(主体)の素材や料理をお届けして、みなさんに笑顔とともに魚の食文化を未来へ繋げて行きたい」と考えています。

 さて、そのためには

 @レシピ、商品のアイデアをみつける
 A試作する
 B商品化する
 C販売する


 という段階が必要です。

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 【@やAではお客さんが買うことはできません。】

 試作品。マルコウではこの段階までくる料理は年間に 10を超えるだけあります。

 「美味しい」ものは、加工品を買うよりも家庭の方が上手にできることも多いです。

 しかし、家庭で作った料理を売買することはできませんよね。材料費を割り勘してホームパーティーみたいなこととは別です。

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 【B商品化すると、買うことができます】

 商品化とは、どういうことでしょうか?

 当たり前過ぎて説明できないレベルだと思いますが、マルコウでは試作品の味が一定の水準に収まるようになったら

・名称(商品名)を確定する
・内容量と価格を決定する
・デザイン、包装する

それと同時に、ここまでの作業工程を整えます。


 家庭で例えれば大量に作ったカレー。
 ジップロックに正確に200gに計量して、しっかりジップして
 いつ作ったとかどうやって保存するとか書くってことです。

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【そして大切なのはC】


作り手は大概Bで満足します。
マルコウもその部分が多くあります。

「自信満々の美味しいものができたのだから、世の中の人たちに評価されないワケがない!」と思っていますが、勘違いです。

 まずお客さんはマルコウが作った新商品を知りません。

 それがどういうもので、どんな味で、どんな思いで作られていて、どのくらいの内容量で、いくらで、どこで買えるか?

 誰も知らない物を買うことはできません。

 ・ブログに書いた
 ・SNSに投稿した
 ・知り合いに無料で渡した

 はい。
 マルコウもずっとそれを繰り返し繰り返しています。

 「ブログに書いておけば誰かがいつか、きっと見てくれるだろう」とか「SNSなら今日の投稿は今日みてくれるだろう」とか「きっと知り合いが褒めてくれたから大丈夫」とか、そんなの全然、お客さんになる人に伝わっていないのです。

 無料で試作品をプレゼントした知り合いが、うまくいって全員一個ずつ新商品を買ってくれればそれで原材料のツケを支払いできて、社員の給料を払えて、家賃払えて、水道光熱費払えるならそれで良いんです。

 でも、マルコウではそういう高い価格の物を売っていますか?
 あるいは天文学的な人数に試作品を配りましたか?・・・ちなみにマルコウならそれを配ったその時点で潰れますけど(苦笑)

 そういう発信をしてもムダなのではなくて、読者やフォロワーが少なかったり少人数で固定化されたり、知り合いの延長みたいなところで止まっていたら「商品を広く告知し、売り上げにつなげる」という商売アカウントの本来の発信目的に到達できないということを書いています。


 製造の風景や、スタッフの人となり、会社の風景、商品画像・・・そういうものも確かに大事

 しかし、それを伝えた先に「そうして作られた商品を買っていただき、良ければ宣伝していただく」という目的を持って自分たちなりの「やり方」を探していく必要があるのです。


 元来作り手であるマルコウはずっとCで思い悩んで来ました。

 売り場で説明書きがあったとしても、それを読む人は実は多くはありません。
 今日買い物に行ったスーパーで、何かの商品の説明書きを読んだことを思い出せますか?

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(深い熟成をたのしむなら→ にしんの切りこみ2020


 なぜ販売で思い悩んできたのでしょうか?

 それは、販売を販売してくれる「市場」や「商店」にずっと任せっきりにしてきたからです。
 彼らもまた仕事ですし、マルコウの専属販売員でもないのでいくら愛情をもってマルコウ商品をプッシュしてくれても限界があります。

 作り手は、作り手という枠の中で甘えていたら全滅してしまうのです。

 食文化を未来へ残したいのであれば商品として残していく他には、データとして公共施設とかボランティアの保管してもらって、未来のいつか誰かが見てくれることを期待して、しかもそれに興味をもって、さらには作ってくれることを期待するくらいしかありません。

 ・・・後者が起こり得る確率は極めて低いですよね。

 信頼できる販売者がいたとしても、次の担当者に代わった時点でほとんどの場合、有力商品でも苦戦を強いられるようになります。
 ニッチ商品の販売量をグングン伸ばせる販売担当者はもっと儲かる部署へと行くのです。そして、ニッチ商品を伸ばせる人はそうそういるものでもないのです。



 そんな中でも「食べたら旨くてリピーターができる」という評価は今までもこれからもマルコウの誇りとなりました。しかし商売として成立させるには常連さんとともに「手にとって、買って、食べてくれる、はじめてのお客さん」も増やさなければなりません。

「お前、マルコウの切りこみ知ってるか?美味いから食ってみれ。俺は毎日食ってるぞ」
(毎日食べてください→こちらからどうぞ「マルコウにしんの切りこみ」)


「黄色い袋の糠にしん、一回食ったらやめられねぇから食ってみれ」
(やめられなくなるべきです。→こちらからどうぞ「福原家お手製ぬかにしん

 って、常連さんに言ってもらえるために、どうするか。

 スーパーの陳列棚で目立つようなMDシールをつくり、目立つパッケージに投資し、その割には目立つこともなく棚で埋没し、売れないから注文も無くなり、パッケージもシールも使い切られずに倉庫の隅で山になっているものがたくさんあります。

 それらの悲しみの歴史の上に、いま、マルコウは何をしたら良いのかについて書いています。

 たくさんの同じ悩みを持つ零細企業に、知ってもらいたいことは、

・販路はそこだけではない

 ということです。

 長い期間付き合った取引先は、ロットが大きかったり入金までの期間が短かったりというメリットがあったはずです。
 しかし、そのロットは今でも維持されていますか?

 価格交渉で、100%希望どおりとは行かなくても、納得の行く納品価格になっていますか?



 黙っていていつかどこかの誰かが会社の運営を安定させてくれるほど毎日物を買ってくれるようになるなんて、

 絶対に起こらないんです。

 ならば、

 いつ、どこの、誰に、どれだけ買ってもらうのかどうやって、どこで買ってもらうのかを考えるべきです。


 マルコウの配達はこうしてはじまりました。
posted by (有)マルコウ福原伸幸商店 at 19:38 | 社長日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2020年06月09日
Category:社長日誌

緊急事態宣言以降のマルコウ[後編]

 [緊急告知]
 2020.6.12金曜日;札幌方面へ配達に行きます。
 [販売商品]この記事の下方よりご確認ください。
 [注文方法]2020.6.11 15時締切
       マルコウへの電話 0135-22-2299
       マルコウへのFAX 0135-22-5699
       マルコウへのメール info@fukuhara-yoichi.co.jp
       Facebookメッセンジャーへのご注文
     
 [お知らせ願いたいもの]
       @氏名
       A住所
       B電話番号(札幌は特に建物が分からないのです。田舎者にやさしくしてください)
       C注文商品と数量


 をお知らせください。
 確認後、金額や配達時間などおおよそのものをお知らせいたします。
 はじめてのところでも勇んで参ります。

 ☆ひとりで回る上に札幌の土地勘がありません。時間と心に余裕のある方、お願いします。
 ☆たくさん買ってください!会社やご近所へもお声掛けをお願いします。



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 これは昨年の秋に公開されたターミネーター・ニューフェイトのポスターです。

 「時代は変わった。運命はどうだ。」

 というキャッチコピーが映画公開から半年後の私たちにとってとても暗示的だと思います。

 ということで緊急事態宣言が解除になるのと同時に

 「配達」をはじめました。

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 今は、余市町内を起点に、おとなりの仁木町、小樽市、札幌市にエリアを拡大している最中です。
 余市町を中心に約50Km圏内程度のエリアを想定。

 想定とか言ったところでマルコウは現在、パート含めて7人体制。

 仕入・加工・製造から荷造り発送、事務方、来店客への販売を含めて7人では、とても厳しいです。

 厳しいけれども、全員が製造に取り掛かると間違いなく在庫の山を築いていくことになります。

 お土産屋さんや飲食店などの販売先が止まっている以上、止まっていないところに販売強化を求めるか、あるいは自分で動くしか方法はありません。

 そして自分で動くことを選択したのです。

 すでに何度かやってみて、知り合いや知り合いの知り合いへの配達でもなかなか思うように動き回れず、しかもひとりで回ると

 ・注文の募集
 ・注文の確定
 ・配達経路の確定
 ・金額、時間の連絡
 ・荷物のピックアップ
 ・運転
 ・駐車
 ・待ち合わせ
 ・商品・現金のやりとり
 ・領収書、チラシ等の受け渡し
 
 など、結構な仕事量が必要なことに気づかされます。

 なかでも時間が押した場合、個別に連絡を取ることなどほとんどムリです。

 
 そんなこんなを繰り返しながらも、とにかく「自分で動く」ことを選択したのです。

 何曜日がいいのか。
 何時ころが都合がいいのか、良くないのか。

 効率的なのかそうじゃないのか、そんなのはやってみながら変えて行けばいい。
 俺たちの運命は俺たちがつくっていくんだ。






 運命はどうだ。



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超絶大人気!ぬかにしん。


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余市産のにしんでつくった糀漬け。にしんの切りこみ。塩辛のような超珍味!


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初冬の味覚を冷凍でおとどけ!北海道ソウルフード、にしん漬け!!ヒンナヒンナ



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超限定品「余市ムール」煮貝。



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 税込み 2,400円!!


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 税込み 1,000円!!(3袋で 2,800円!!)


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posted by (有)マルコウ福原伸幸商店 at 15:57 | 社長日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Category:社長日誌

緊急事態宣言以降のマルコウ[前編]

 みなさまいかがお過ごしでしょうか?
 まずもって、マルコウは社員・家族共に元気でやっています。
 近況についてすこし書き留めておきたいと思います。

 きっと今を通り過ぎたら忘れてしまうでしょうから。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、2月22日の時点でニッカウヰスキー余市蒸留所が観光客の入場を早々と停止。

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 観光客の姿が町から消えました。北海道では2月末に早くも緊急事態宣言が出され、トイレットペーパーが売り切れ、やがてマスクが売り切れるという現象が余市町でも起こりました。
 トイレットペーパー問題なんて、6月になった今から思えば一体なんだったんだ?というレベルですが、一生懸命に生きるということは時に人を盲目にさせてしまうのかもしれません。


 2月の中旬、福原含め余市町の有志達は特産品と地元産ワインが出会うイベントを開催すべく奔走していましたが、事態は急変。

 毎月1回の定例イベント「ミナクル」も3月開催分からこちら側、すべて中止となっています。

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 @観光客が来ない→お土産品が売れない=ジャーキー類の販売が止まる

 A学校が休みとなり、在宅勤務が増え、飲食店への往来が止まるということはスーパーでの買い物需要は増える→3月中は例年通りに身欠きにしんが売れた→予想以上に自粛期間が長期化し、調理しやすい食べ物は売れるが一般的でない季節商材などは売りあぐねるという現象が起こる=4月、身欠きにしんの販売がほぼ停止。


 Bイベントはすべて中止

 はい。

 マルコウ福原伸幸商店、売り上げの方向性3本柱すべてを失いました。

 
 とてもとても苦しい選択を迫られました。

 従業員もいます。

 家族もいます。

 給付金?補助金??休業補償???いつ出るんですか???もらえるんですか?僕ら。


【現状まとめ】 

 @の観光客が戻ってくるまでにはいつまでかかるか全く予想がつきません。これは6月上旬時点でも変わらず。
 

 A学校も通勤も6月1日から再開しましたが、季節商材の身欠きにしんのシーズンはとっくに過ぎてしまいました。


 Bある程度の組織が運営するようなイベントはリスク回避のため中止措置がとられています。



 日々入れ替わる状況変化のなか、ネット通販にのみ生き残り策があるかのようにみえました。
 いや、そこに注力する以外の道は皆無だったと言えるでしょう。


 そこで福原商店は3月中旬から地道に少しずつ勉強を重ね、まさに試行錯誤を繰り返し繰り返し、

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≪初期イメージ≫

 オンラインショップを再構築しました。
 →マルコウ福原物語


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 そこに

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 このようなコーナーを設置。

 各SNSで情報拡散し、販売開始。


 ネット・Facebook上では仲間たちが協力してくれて

 ・コロナ支援・訳あり商品情報グループ

 ・RESCUE HERO SHOP

 などに商品紹介を手伝ってくれて、大反響を巻き起こし続けています!!!

 大感謝。


 さらにはこれです。


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 レシピ入りのチラシ。友人夫婦(予定・婚約中w)作。


 先ほどCで直接販売という意味ではネット通販にだけ活路が残っているようなことを書きましたが、この紙メディアを通じ、地元に存在をアピールすることの大切さと、この状況下だからこそ地元の人たちに可愛がってもらってやって行くという【超☆原点にもどる】ことに、ハラをくくることができました。


 次回に続きます。
posted by (有)マルコウ福原伸幸商店 at 14:53 | 社長日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする